これからも、クラウド系を扱う会社はシェアを伸ばしていくと思います。その際にさくらインターネットと、GMOペパボのどちらが投資対象として魅力的か比較してみます。
さくらインターネット
嬉しい株主優待
100株購入しておくとクオカードが年間1,000円分いただけます。配当金は250円です。税金がかからないクオカードでの優待という形で、年間1,250円の配当金がいただけるようなイメージです。
株価612円(2020/8/27)から考えると、配当利回りは2%程度。可もなく不可もなく。
もう少し株価が安くなってくれたら欲しいなと思いますね。
事業内容
ハウジングサービス、専用サーバサービス、レンタルサーバサービス、VPS・クラウドサービス
売上高
売上高を順調に伸ばしていますが、2016年と比較すると、経常利益は伸びていない現状があります。
1株当たり当期純利益
自己資本比率
自己資本比率は低めです。25.5%
キャッシュフロー
営業CFも増えています。現金も大幅に減らすことなく横ばいを保つような形で、経営的にも問題がない事がうかがえます。
従業員数
従業員数も少しずつ増やしており、事業拡大路線が続いているものと思います。
各種指標
流動比率(%) 74.85%
1年以内に現金化できる資産と、1年以内に返済すべき負債の比率
すぐに首が回らなくなるほどの体質ではないですが、100%を下回っているので、多少借金経営・自転車操業部分があります。
PER 62.7倍
1株当たりの当期純利益の何倍
15倍くらいが目安と言われていて、将来性の高い会社は株を買われる傾向にあり、株価が高くなっている状態です。
この62.7倍というところがしり込みする理由で、今成長期待に乗っている株なんだと思えばそんなに高くないという判断もできるのですが。
競争優位性
顧客のニーズや成長フェーズの変化に対応できる幅広いサービスラインナップ、開発・保守・運用・お客様サポート・システムインテグレーション等をグループ内において一気通貫で行う垂直統合型のビジネスモデルによる迅速かつ柔軟なサービス提供力、インターネット黎明期からの事業継続による40万件を超える顧客に支えられた安定的な収益基盤、多様な働き方を尊重する取り組みを継続してきたことによる人材獲得力
有価証券報告書2019
1999/8から設立されたインターネットサービスの会社になります。この業界では老舗であり、ある一定のブランド力もあると思われます。
データ蓄積、データ処理、データ転送及びそれに関連した付帯サービス等のインターネットインフラサービスを幅広いサービスラインナップ
有価証券報告書2019
これからのビッグデータが処理される事を見据えた上でのサービスをラインアップしている事もポイントになるかと思います。
2021年3月期 第1四半期決算短信から読み解く
売上高は伸ばしているが、営業利益は減少
売上高増加の原因
デジタルトランスフォーメーションの取り組み
マルチクラウド化の浸透により、VPS/クラウドサービスが安定成長
売上高増加の原因はとても納得がいくものです。
営業利益減少の原因
エンジニアの増員による人件費
販売用及びサービス用機材増加に伴う経費の増加
この売上高推移見ているとなんだかワクワクするくらいの右肩上がりです。
現在かかるコストが増大しているのが原因で、売上高は上がっても営業利益を下げてしまっているのが気になるところです。
バリュー株投資として
もう少し株価が下がってくれれば欲しいなと思います。
不安材料は人件費高騰、他社追随による薄利多売。売り上げは上がっても、営業利益が下がっているのが残寝なところです。
また配当利回りも2%程度と、612円程度の株価では、ちょっと思い切るような買いに入るのは難しいですね。
さくらインターネットは、機能豊富なレンタルサーバプランを多数持っている今後も売り上げを伸ばしそうなさくらのインターネットはとても魅力的ですが、営業利益が出せない体質と、配当利回りがあまり高くないところが今のところ買いに入れないなと思うところです。
せめて、株価400円台なら配当利回り3%以上で、現在の成長性、売上高を維持できるようなら買いに入りたいと思うのですが。
GMOインターネット
事業内容
連結子会社113社によって企業集団を構成。
有価証券報告書2019
詳しくは有価証券報告書を見ると良いです。
- インターネットインフラ事業
- インターネット広告・メディア事業
- インターネット金融事業
- 仮想通貨事業
- インキュベーション事業
単なるレンタルサーバの事業会社ではなく、仮想通貨や金融まで取り扱う幅広い複合事業体になっています。インターネットと金融・仮想通貨は相性の良い分野なので今後の発展も期待できます。
売上高
売上高、経常利益ともにキレイに右肩上がりになっています。
1株当たり当期純利益
さくらインターネットに比べると、純利益も大きい事が分かりますが、2018/12期は大きな損失を計上しています。
自己資本比率
自己資本比率は6.2%とかなり低い値になっています。金融事業を行うと自己資本比率は低くなるとの事ですのでその影響だと思います。
キャッシュフロー
現金のたくわえを増やしています。
従業員数
従業員数も確実に増えています。
各種指標
流動比率(%) 110.85%
1年以内に現金化できる資産と、1年以内に返済すべき負債の比率
100%を超えており、安定した経営を行っています。
PER 31.91倍
1株当たりの当期純利益の何倍
15倍くらいが目安と言われていて、将来性の高い会社は株を買われる傾向にあり、株価が高くなっている状態です。
事業優位性
インターネットインフラ事業だけでなく、銀行や証券会社を持っている事がかなりの強みではないかと思います。
インターネット事業を行う際に、お金をやりとり、支払いの仕組みを作るのは必須になると考えます。この時に自前で決裁手段、銀行などを持っているというのは大きいです。
比較
売上高からの単純比較
GMOインターネットの方がさくらより9倍ほど大きい
従業員数からの単純比較
GMOインターネットの方がさくらより7.6倍ほど大きい
GMOは金融事業を持っている
さくらは、老舗・データセンター機能に注力している。
まとめ
インターネットインフラ事業を手がける両社ですが、GMOインターネットは、インターネット金融・仮想通貨までを扱っており、さくらに比べ経営規模がかなり大きくなっています。
今後は、単純な安いレンタルサーバという形での競争は激化すると考えられ、GMOインターネットの方がインターネット上の金融サービスと親和性が高いとみられるところから他の事業者と差別化しやすいのではないかと考えます。
例 ネットショップをやりたければインターネット金融(クレジットカードなどとの連携)は必須
事業規模と、将来的な展望からGMOインターネットとさくらインターネットの株価の差に表れているように思います。