AT&Tってどんな会社
米国株式が買い!と紹介している本に良く紹介されるAT&Tです。どんな会社なんでしょう。
通信会社(モバイル)の老舗
タイムワーナーを運営コンテンツ事業に力を入れる
米国で通信会社の老舗。5Gも一部エリアでサービスを開始しています。
[browser-shot url=”https://www.att.com/5g/consumer/” width=”600″ height=”450″]
タイム・ワーナーを買収しワーナーメディアを参加に収めています。ワーナーメディアは映画会社「ワーナー・ブラザース」、ニュース専門チャンネル「CNN」などを擁する複合企業体です。
ワーナーメディアは、HBOも運営しています。HBO(エイチビーオー、Home Box Office の略)は、アメリカ合衆国の衛星およびケーブルテレビ放送局です。
2016年末の段階で契約者数はアメリカ合衆国で4900万、世界中で1億3000万を誇りましたが、この衛星・ケーブルテレビは、netflixや、amazon prime videoなどの動画配信サービスに押されています。
AT&Tは2018年6月にタイム・ワーナーを買収、買収額は854億ドルという巨額負担により、投資家の評価を下げています。
コンテンツ事業への投資が重荷
AT&Tは2015年度にディレクTV、2018年度にタイムワーナーを買収しており、本業のスマホなど携帯事業の他に、コンテンツ事業にも力を入れています。
ワイヤレス通信キャリアとしてトップシェアはベライゾン。売上高への成長余地はTモバイルが握っていると言われ、通信事業では中々成長を目指せる状況ではありません。
そこで目を付けたのがコンテンツ配信サービス。かつては衛星放送サービスにより安定した収益をあげていましたが、最近ではNetflixや、Amazon Prime Videoになどの台頭により競争が激化しているところへ巨額投資をしているという事です。
高配当に加え、コンテンツ分野への投資のための借入金が今後の経営に対する負担となります。
収益割合
2020 1Qを見て、どの分野でどれくらいの収益が出ているのか確認してみます。
()内は2019 1Q
モビリティ117,402(17,3630)
エンターテインメントグループ10,515(11,328)
ビジネスワイヤーライン6,332(6,478)
WarnerMedia7,359(8,379)
ラテンアメリカ1,590(1,718)
Xandr489(426)
その他1,2(908)(865)
合計 42,779(44,827)
2019年収益と比較すると-4.6%ほど収益を下げている事が分かります。また、売り上げの大部分をスマートフォン分野が占めている事も分かります。
巨額債務は大丈夫なの?

配当後のフリーキャッシュフローが債務満期をカバーできる事を表しています。
AT&Tがの稼ぎ頭、スマートフォン(携帯契約者)がいきなり離れてしまうという事は考えにくいので、キャッシュフローを生み出せなくなるのは考えにくいと思います。
コロナの影響はどうなの?
やっぱりコロナの影響は受けていますね。2020 1Qが下げているのはコロナの影響です。他業種のような大きな影響ではないものの-4.6%収益が減少しています。

1.コロナの影響は約600万ドル
2.スポーツに関連する広告とワイヤレス機器販売の減少
3.外国為替による約3億ドルの影響
高配当が魅力
なんといっても、AT&Tは高配当が魅力です。
米国の大手通信会社AT&T(NYSE:T)の株は長年にわたり増配を続けてきた結果、1株当たりの年間配当額が2.08ドル、配当利回りは5.5%に達しています。
【米国株動向】 AT&T株とその配当の安全性は?
配当金は年4回に分けて入ります。配当日は
2月、5月、8月、11月です。

ちょこちょこ配当がはいってくるのはなんか嬉しいですね。米国高配当株の魅力はこういうところにあるのかなと思います。
有価証券報告書より

営業利益はしっかり伸ばしています。当期純利益は2017年をピークに下がってしまっています。
支払い利息の増加が重くのしかかっている事が見えます。

現金を増やしています。

就業者数は減らしています。合理化なのか?それとも規模縮小なのかはこのレポートだけでは分かりません。
主な指標
PER(株価収益率) 15.67倍
株価が「1株当たりの当期純利益(単に1株当たり利益、1株益ともいう)」の何倍になっているかを示す指標
15倍を下回ると、割安とされる。ベライゾン10.26倍より若干高め、Tモバイルの22.49倍に比べると低めに抑えてあり、同じ通信事業大手と比べてみても割高感はない。
自己資本比率 33.39%
総資本(負債+純資産)を純資産で割ったもの
40%以上あると倒産ないと言われます。ベライゾンが20.44%、Tモバイルは27.65%と、いずれも20%台と低い数値。その中で30%以上の自己資本比率は比較的安定している企業という事になります。
流動比率 79.47%
流動資産(1年以内に現金化できる資産)÷流動負債(流動負債は1年以内に返済すべき負債)×100%
日本の安定企業は流動比率が100%を超える会社が多いのですが、アメリカ企業は若干事情が違うようです。上がった収益から株主還元額が大きいせいかも。
ベライゾンで83.52%、Tモバイルで74.40%であり、これもちょうど中間ですがそんなに差がなく標準的に80%程度である事が分かります。
ROA 2.52
総資産利益率(ROA:ReturnOnAssets。略称の読み方はアールオーエー)とは、総資産に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す指標
10%を超えると稼ぐ力のある優良企業と言われます。
ベライゾンで6.6%、Tモバイルで3.99%で、米通信大手三社の中でも稼ぐ力が一番低い企業という事になります。
アメリカ通信大手のシェア

アメリカでは上にあげた4社がビック4と呼ばれていますがかなり会社間で差があります 日本では電波に差はないですが、国土の広いアメリカでは電波に格差があり、上位2社はアメリカのほとんどの範囲で電波をカバーしています 1番契約者数を伸ばしているT-Mobileは大都市圏をほとんどカバーしており上位2社との差をどんどん縮めています Sprintは電波面ではかなり厳しいです
各国のケータイキャリアシェア
このうち、T-Mobileと、Sprintの合併にゴーサインが出た事で、AT&TとNew-T-Mobileのシェアは僅差。直近の調査ではAT&Tがシェア3位となるようです。
1年以上すったもんだしましたが、ようやくアメリカのFCC(連邦通信委員会)がT-Mobileとスプリントの合併にゴーサインを出しました。 今年はじめのデータによると、2社が合併してできる新会社(通称New T-Mobile)は、アメリカ第2の大手キャリアに。ちなみに市場シェアはトップのVerizonが40.9%とぶっちぎり。New T-Mobileは29.4%で、3位のAT&T(28.9%)と僅差になっています。
携帯市場は巨人同士の戦いだ。アメリカで3位と4位のキャリアが合体
通信事業では熾烈なシェア争い。勢いのあるT-Mobile、安定王者のベライゾンという形で、立ち位置が中途半端なAT&Tが手掛けているのがコンテンツ事業という構図になります。
目指すところは高速通信5Gとメディアコンテンツの融合です。他の2社にない特徴がインフラとコンテンツの両方を持ち合わせているというところになります。
AT&Tのコンテンツ事業
【ハリウッドコラム】膨大なコンテンツを誇るHBO MaxはNetflixキラーとなるか?
事業内容
電気通信、メディア、テクノロジー産業。
- Communications
- WarnerMedia
- Latin America and
- Xandr
4つのセグメントにわけてレポートが書かれていて、通信、ワーナーメディア、ラテンアメリカとXandrです。
※ラテンアメリカ キシコの消費者と企業にモバイルサービスを提供し、南アメリカとカリブ海全域のデジタルエンターテイメントサービスを提供しています。2019年の収益は70億ドル。
※Xandr 消費者中心のデジタル広告を売買するためのCommunityと呼ばれるオンラインプラットフォームを運営
2020年第2四半期の収益公表
HBO Maxの行方
今後の業績は、他社比較した時に、通信事業を行いながら、メディアコンテンツ事業がどれだけうまく成功していくかがポイントになるかと思います。Amazon Prime,Netflixなどのインターネット動画配信巨大企業にどれだけ食い込んでいけるかです。
現在のケーブルテレビ網を生かし、どれだけそのユーザを取り込めるのかが勝敗の分かれ目になりそうです。
HBO Now,HBO 有料テレビサービス、HBO Maxは
通常月額14.99ドル
となります。
Netflixの標準プランは12.99ドル
ディズニーはNetflixを超えられるのか
一番人気のプラン(HDストリーミングを最大2台同時利用)の料金は月額10.99ドルから12.99ドルに上がる。同時視聴可能1台のプランは月額8.99ドル、4台のプランは15.99ドルにそれぞれ上がる。
Netflix、米国ユーザーの料金を値上げ。一番人気のプランが月額13ドルに
Netflixは、視聴台数によって料金が変わるプラン構成を持っています。
HBO Maxの強みはデータ通信料金
本題はHBO Maxでコンテンツを視聴している間のデータ使用量はAT&Tのワイヤレスサービスではカウントされない
AT&TはHBO Maxのデータをカウントしない
これが最大の強みです。HBO Maxを多用する方はAT&Tの通信契約、スマホ契約をしていたほうがいいという事になりますし、AT&Tのスマホを利用している方はHBO Maxを利用すれば、いくらストリーミングを見ていてもデータ量にカウントされないという事になります。
日本でいうと、LINEモバイルを使っていると、LINE内でのデータはフリーになりますよね。これってとっても魅力的です。
コンテンツは
肝心なのはコンテンツです。いくら良いインフラが整っていても、利用したくなるサービスが提供されていなければ誰も利用しません。
によると、
『ゲーム・オブ・スローンズ』や『ウエストワールド』や『TRUE DETECTIVE』
『崖の上のポニョ』今までどの動画配信サービスでも実現していなかったジブリの作品を独占配信
世界中で大人気のコメディードラマ『ビッグバン・セオリー』
大人気のアメリカのドラマ『フレンズ』
イギリスBBCの長寿ドラマ『ドクター・フー』
「ブレードランナー 2049」のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督がオリジナル作品を作成
といったコンテンツが配信される予定です。
AT&T利用者数
モバイル、有料テレビ、ブロードバンド全体で約1億7000万人
CNN.comやBleacher Reportなどのデジタルプロパティに視聴者を含めると、その数は3億7,000万
1位 Youtube
2位 Netflix
3位 Amazon Video
4位 Hulu
5位 HBO Now(AT&T)
Youtube,Netflix,Amazon videoが3強になります。ここにHBO Maxを突っ込みどこまでシェア回復が図れるかが問われます。
そもそもHBOって
HBOは、アメリカの衛星テレビ・ケーブルテレビ放送局で、AT&T傘下のワーナーメディアが運営しています。日本でいうと、WOWOWやスターチャンネルに相当します。
ネット配信は、HBO加入者向けのHBO GOと、HBO加入者でなくても視聴できるHBO Nowを運営しています。
Youtube,Netflix,AmazonVideoに対抗すべくインターネット定額制動画配信サービスHBO Max月額14.99ドルにて2020/5/27から開始しました。
すべてのHBO契約者はHBO Max経由でストリーミングする事ができます。
HBO MAX
HBOのすべてのコンテンツをインターネットプロバイダーを通して視聴できます。2020/5/27にスタートした新サービスです。
HBO NOW
HBOが提供するスタンドアロンのストリーミングサービス。HBO NOWの契約者はHBO MAXにアクセスできます。
HBO GO
HBOが提供するストリーミングサービスで衛星・ケーブルテレビHBO契約に無料で含まれています。HBO GOアプリの利用はHBO契約が必要で、2020/7/31に削除予定です。
まとめ
AT&Tは紛れもない高配当銘柄
コンテンツ配信サービスへの投資負担大
当面は事業継続に問題は見られない
通信事業での業績拡大が難しい中、コンテンツ配信サービスへ投資をしていくという事業方向性には共感します。ただ、コンテンツ配信サービスも競争が激化しているため、この投資が実るかどうかがポイントになるかと思います。